生活保護費でパチンコをする人の問題について

  • 2016.01.31 Sunday
  • 07:52
 大分県の別府市で行われた行政機関での対策が批判され、さまざまな議論がなされています。

 生活保護費をパチンコに使うことは是が非か。法で規制することができるのか、できないのか。このあたりの議論は私は意見を持つつもりはありません。
 ただ、そこにどんな問題があるのかを掘り下げていくことには意味があると思っています。
 
 別府市が行った対策は、一般市民から見て、税金から支出される生活保護費をパチンコやギャンブルに使うことは、けしからんという考え方に基づいて行われたようです。

 別府市長は以下のように述べています。

「ギャンブルは最低限度の文化的生活を送るために必要なのだろうか。市民感情、国民感情に照らし合わせても、理解を得られない」。

 いかにも政治家的な見解ですが、生活保護を支給する現場では、少し異なった見え方がなさているのではないかと思います。下記のような問題が存在していると私は想像しています。

 生活保護費を支給したらそのままパチンコ屋・ギャンブル場に直行してしまう人がいる。必要な生活費まで使ってしまう。次の生活保護費支給日まで水だけで生活しなければならなくなる。
 どうにか次の支給日にたどり着いても、また同じことの繰り返し……。
 生活保護を支給する側はどう対応すればよいかわからない。病気として対処しても効果はない。依存症だからGAに行くように言っても行かない。行ってもギャンブルをやめられない。

 生活保護費をパチンコやギャンブルに使う課題を「現場」の視点で見ると、このような問題にたどり着くと思います。

 以前、このブログで記したと思いますが、生活保護のワーカーさんが紹介してワンデーポートに来る人は、支援が難しい人が少なくありません。

 ある人は、人間関係がまったくできない。

 ある人は、仕事をした経験がほとんとない。

 ある人は、パチンコだけが生き甲斐。

 ある人は、問題意識がまったくない。

 知的障害を疑われる人もいますし、自閉的な人も少なくありません。ワンデーポートで支援を受けるには、障害があっても、一定以上の生活能力やコミュニケーション能力が必要になるので、本人が拒否することも多いです。
 支援困難人たちほどニーズは多様です。ギャンブルをやめたいと思っている人もいれば、そうでない人もいます。金銭管理を望んでいる人もいれば、そうでない人もいます。
 そのような人たち1人ひとりに寄り添うのは簡単なことではありません。簡単ではないので、いちばん身近で接しているワーカーさんの苦労は並大抵ではないと思います。
 話を戻しますが、別府市長の言うように、生活保護費でギャンブルをやるなんて、そもそも間違っていると言う方も多いと思います。しかし、「やる理由」「やめられない」背景は単純ではないのです。生活保護費をパチンコに使っている姿を見るだけでは、真実はわからないと思います。

 真実を見ることは簡単なことではありませんが、その人の困難に目を向け、寄り添い、理解しようという気持ちがあれば、見えてくると思います。多様化した現代社会に適応できないで苦しんでいる人の姿が。

 社会との関係で不適応になっている人が自立(自律)することは簡単なことではありません。なかには、失敗を繰り返すことに寄り添うことが唯一の支援になるという人もいるはずです。
 
 生活保護費をギャンブルに使うという問題には、多くの人が気づいていない、社会課題が存在していると私は考えています。
 生活保護費をギャンブルに使うことが是か非か、ということだけを議論しているだけでは埒があかないと思います。

 社会適応の問題を抱えた人が生活保護費をギャンブルに使う問題については、私自身確たる解決策があるわけではありませんが、少し角度を変えて見てほしいと考えています。そして、見えにくい課題を抱えた人にどう関わっていけばよいか、1人ひとり考えてほしいと思っています。

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