無力を認める

  • 2014.06.29 Sunday
  • 20:54
 意志を強く持てば、ギャンブルをやめられる。多くの人はそう考えています。家族も、本人も。でも、簡単ではありません。

 依存症の相互援助グループでは「無力を認める」という言葉があります。たとえば、GA(ギャンブラーズ・アノニマス)12ステップのステップ1で、「私たちはギャンブルに対して無力であり、思い通りに生きていけなくなっていたことを認めた」とあります。
 解釈は色々ですが、要は意志の力ではやめられないことを認めるということです。
 意志を強く持って、どんなに誓っても、宣言しても、誓約書を書いてもやめることはできないということです。意志の力では、やめられないから、生き方や考え方を変えるための原理(12ステップ)を使いましょうということになります。
 逆接の真理がそこにあります。無力を認めるというのは、やめ続けるためにたいへん有効なのです。
 ワンデーポートでは12ステップはやりません。ワンデーポートの利用者でGAに参加している人もいますが、2割いないと思います。以前は全員がGAに参加していましたが、合わない人が多く、その人の特性や希望を聞いてから案内します。

 それでは、ワンデーポートにおいては意志を強く持つように指導しているのかというと、必ずしもそうではありません。
 私たちはギャンブルに向かわせた原因があると考えています。その原因は、個々に違います。ある人は金銭管理が苦手であること。ある人は仕事のストレス。ある人は歪んだ価値観。ある人は精神的な脆弱性。一人ひとり背景を見立て、「あなたの場合はこういう部分が変わらないと(受け入れないと)、ただ意志を強く持とうと思ってもやめられないかもしれません」と伝えます。
 だから、ワンデーポートのミーティングで意志を強くしようと言う人はほとんどいないのです。
 全員一律にGAに参加していた頃、言葉では「無力です」と言いながら、有力な人がたくさんいたように思います。おそらく、ステップを呪文ように暗記しているだけで「無力」という意味をわかっていないで、「無力だ」と言っていたのではないかと思います。
 つまり、その人にとって、何がギャンブルに向かわせていたかを明らかにすることで、どうして無力なのかを伝えることができるようになると思います。
 ワンデーポートの利用者はステップはやってはいませんが、ステップ1に関しては、一般的なGAメンバーよりも理解しているのではないかと思っています。

 
 今日の昼間、横浜は一瞬真夏の空が広がりました。

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